【体験談】想定外の人生とキャリアブレイク

体験談

設計したはずのキャリアと、想定外の人生

一時的な離職・休職等によるキャリアの中断を肯定する
欧州発祥の「キャリアブレイク」という考え方

しかし日本では、今もなお、定職から離れた期間は
「ブランク」と一括りにされがちです。
けれど本当にそうでしょうか。

キャリア=人生の轍という意味だと考えると、
それらは単なる空白の期間ではなく、
キャリアの“文脈が変わった時間” ではないでしょうか。

出産をきっかけに、キャリアブレイクを
経験した岡本(仮名)さんも、そんな一人です。

人生の途中で立ち止まり、自分を見つめなおし、
新たな人生の転機となった『キャリアブレイク』

前回の事例に続き、この【体験談】シリーズでは、
経験者たちが、ブレイク時間をどう過ごし、
どう人生の転機と向き合ってきたのかー。
彼らのキャリアブレイク経験をお伝えします。

1: 退職して大学院留学を決めた理由

大学卒業後、地方の大手新聞社に就職した岡本さん。
記者として現場を走り回る仕事は、社会的意義もあり、
やりがいもあったが、残業も多い激務の日々でした。

そんなある時、体調を崩してしまい、
数週間、休みを取ることになった彼女。

そして・・・体調が回復し、復帰が決まった時、
ふと、こう思ったそうです。

このまま戻っても、もしかしたら、
同じことの繰り返しになるかもしれないー。
そこで10年働いた会社を退職し、
イギリスへの留学を決意

もっと強みとなる知識や専門性を身につけ、
メディア業界でのキャリアアップが目的でした。

 

2: 「学べば次の道に進める」という前提

イギリスの大学院には、定職の仕事を一度離れ、
学び直しを選んだ留学生が多数いました。

年齢も20〜40代とバラバラな彼らが、
積極的な姿勢で、キャリアや人生と向き合う姿に、
刺激を受ける毎日を過ごしていたと話す彼女。

”学びさえすれば次の道は開ける”

当時は、その前提を疑わず、思い込んでいました。
語学には多少不安を感じていたが、

メディアなどの仕事にも、すぐ戻れるだろうと、
どこか楽観的にも考えていました。

 

3:想定外の出産・育児というブレイク

大学院生活も終わりに差し掛かったとき、
社会人時代から付き合っていた彼が、
欧州に仕事で1年滞在することになり、結婚。

当初は、後1年で日本に戻る予定でいましたが、
妊娠がわかり、現地で出産した岡本さん。

その後、夫の赴任期間が延期となったため、
そのまま、現地で育児を続けることになった彼女は、
仕事から完全に離れる期間が続いたと言います。

留学は前向きなキャリアブレイクだったが、
育児期間は仕事的には、”止まった時間”でした。
メディアの世界に戻れるのだろうかという不安は、
想像していた以上に大きかったです」。

4:”留学と育児” 二つのブレイク

今、あのキャリアブレイク期間を振り返ると、
留学の時間はブランクだったとは思いません。
明確な目的と、進みたい道がはっきりしていて、
切り開いていけるだろうと思っていたと話す彼女。

ただ一方で、出産・育児をしていた期間は、
仕事面では確実に影響があったと感じています。
私に取っては、同じ「離職期間」でも、
ブレイクの意味はまったく違っていました。

自分が選んだ道に対して、後悔は全くしていない。

こう岡本さんは前置きをしながらも、

「当時は復職への焦りが強かったです。
特に大手メディア業界を志望する場合、
年齢やタイミングが厳しく見られる現実もあるからです。

特に当時は、”休んでいる期間=履歴書の空白
見られる風潮も高かったので」と振り返ります。

ブレイク時間が必ずしもプラスになるわけではない、
ということもあると、身をもって知ったと感じていました。

5:復職で直面したキャリアの現実

数年後、岡本さんは一足早く、
子供を連れて日本に帰国しました。

ちょうどその頃、あるメディア業界への
派遣の話があったためです。

東京近郊の実家に身を寄せ、
少しでも早く復帰したいと望んだ彼女。

久しぶりの現場に戻れるかもという期待を抱き、
しっかりと準備して、面談に臨みました。

面接では、過去にどんな仕事をしてきたかが中心に問われ、
ブレイクそのものに強い関心は持たれなかったと言います。

一方で、育児と仕事の両立については多く聞かれ、
戸惑いや苛立ちを覚えたこともあったそうです。

それでも、彼女の実績ややる気が評価され、
無事に、オンライン記事を執筆する
委託業務の仕事を開始しました。

6:ブレイクを考える人への現実的な視点

仕事に復帰してから8年、
大きな取材現場なども任されるようになるなど、
少しづつ実績を積み重ねてきた岡本さん。
またブレイク期間中から、興味をもっていた
子供や移民の人権を守るプロボノ活動も始めました。

そして40代後半になった今、こう振り返ります。

キャリアブレイク期間は必ずしも、
プラスにはならないこともある。
だからこそ、その時間に
過度な期待をしすぎないことも大切。

ただ何を学び、どう仕事に生かすのかを、
自分の中で整理しておくことが重要だと思う。

人生は設計通りにはいかないこともある。
でも、それを受け入れる視点や視野が広がり
ました。
そして今、これまで自分で選んできた道は、
決して無駄ではなかったと言い切れます。」

7:まとめ

ブレイクは、必ずしも成長が、未来が
約束されるものでないかもしれず、
ときには、不利に働くこともあるかもしれない。
それでも、
人生の中で避けられない時間があるのも事実。

大切なのは、その時間をどう過ごしたかだけでなく、
その時間をどう引き受けてきたかー

でも、人生100年時代の今、
途中で立ち止まったり、歩んできた道を
振り返ったりする時間は無駄ではなく、
そこで得た経験が、のちの人生や仕事に生きる。

キャリアの“文脈が変わる時間”となり、
次の一歩を踏み出す力に変わるのかもしれません。

 

 

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