日本では、まだ一般的ではない
「キャリアブレイク」という言葉。
今まさにこのテーマを調べているあなたは、
何かしら迷いや不安を抱えているかもしれません。
「聞いたことはあるが、どんな意味?」
「キャリアブレイクって、結局無職のこと?」
「休んでしまったら、履歴書の空白になるのが怖い」
「次を決めずに退職してしまうのは不安」
「一度、立ち止まってみたいけど、勇気が出ない」
余裕なくひたすら走り続け、心身ともに疲れた。
でも・・これからが見えず、まだ一歩を踏み出せない。
そんな状況に、もやもやとした想いで過ごしている。
現代の日本においては、
「働き続けるのが当然」「休むのは悪いこと」。
そんな考え方が、根強く残っているかもしれません。
でも!本当は、休むことで自分に向き合うことは、
人生の大切な選択肢の一つなのです。
筆者も、キャリアブレイクを数回経験しています。
その実体験や体験者たちの話から得た気づきや
学びをお伝えします。
「今のままでいいのかな」と感じている方にとって、
“一つの選択かも”と思えるきっかけになれば幸いです。
キャリアブレイクって知ってる?
『キャリアブレイク』とは、
一時的に雇用から離れて、
自らのキャリアを見つめ直す小休止期間のこと。
※ 引用:https://www.dodadsj.com/content/20240628_career-break/
日本では、
まだ馴染みのない概念=キャリアブレイク。
根底には、「キャリア=経歴・実績・社会的地位」
との考えがあります。
しかし、『キャリア』の語源は、
ラテン語でcarrus(車)から始まり、
「荷馬車などの通り道・轍(わだち)」
という意味があります。
それが転じて、通ってきた道・その足跡・
経路を意味するようになったと言われています。
キャリアとは、仕事(ワーク)だけでなく、
ライフを含む人生の軌跡のことなのです。
そう考えると、「キャリアブレイク」は、
その軌道を整えるための小休止。
『一度立ち止まり、人生そのものや
働き方を整えるための
ライフキャリアのお休み期間』。
離職や休職をキャリアの「ブランク=空白」とみなす
考え方もありますが、ライフキャリアと考えれば、
人生に空白などありません。
「心身のリセット・新しいスキルの習得・
価値観を見つめ直す」。
そのための大切な「余白を作る時間」。
それが『キャリアブレイク』。
そう、「休む」とは、決して
「キャリアから外れる、遅れること」ではなく、
これからの人生をより良くするための
リセットボタンなのです。

海外ではキャリアブレイク、どう評価されてる?
欧米やアジアの先進国では「キャリアブレイク」は、
一般的な選択肢とされています。
目的はさまざまー
学び直し・視野を広げる・家族のサポート・
心身の回復・新たな挑戦の準備など。
企業や社会においても、キャリアブレイクは
ポジティブに評価されています。
具体的には:
・欧州:数ヶ月〜1年程のサバティカル(長期休暇)や
タイムクレジット制度などの法制度が一般的。
・米国:転職時などのブランク期間は、
『自己成長のための戦略期間』として評価。
・シンガポール/オーストラリア:
キャリアの深化や視野拡大の期間として肯定的。
“一度立ち止まって自分を見つめ直す人は、
次のキャリアやステップへの意志が強い”。
「休んだ理由」より、その期間に
「何を得たか」が重視されています。
日本では「履歴書の空白」と捉えられがちな期間は、
むしろ評価ポイントになりうるのです。
キャリアブレイクのきっかけ_体験談
キャリアブレイクの理由は、人それぞれ。
・ 語学・専門スキルを学びたい。
・ 海外経験や旅、ボランティア活動をしたい。
・心身のリセットをしたい。
・妊娠・出産・育児・介護等のライフイベント。
・ キャリアチェンジの準備や転職を考える時間の為。
筆者自身も数回ほど経験しています。
一度目は・・・
新卒で入社した、大手人材広告企業を辞めた時。
同期や先輩達が、猪突猛進に働く姿に焦りながら、
「私はなぜ、ここにいるのだろう」と、
言葉にできない、もやっとした想いを抱く毎日。
悩んだ末に、興味のあったアートを学びたいと、
次を決めずに辞めました。
その後、半年間の準備期間を経て海外留学へ。
二度目は・・・
留学した先で働いていた部門がクローズされた時。
美大卒業後、すぐには就職が見つからず、通訳や翻訳・PRのバイト等を引き受ける日々。
そんな中、知人の伝手を通じて推薦され、
現地テレビ局デザイン部に業務委託で就職。
しかし経済危機の煽りを受け、外国人枠がクローズ。
その後はバイトを掛け持ちし、知人の会合に出たり、
必死にポートフォトリオや語学を磨くこと1年半。
フリーで働いていたご縁を通じて紹介され、
正社員として、メディア業界でキャリアをスタート。
三度目は・・・
家族が突然倒れ、サポートせざるを得なくなった時。
当時、多くのプロジェクトチームを率いて、
出張も多く、やりがいも感じていたため、
最初は両立を試みるも、心身の限界をむかえました。
そこで仕事を休み、家族との時間に集中したのです。
その後、メディア経験を活かせる外資会社に再就職。
振り返ってみると、当時は名前は知らずとも、
自分と向きあう時間=小休止期間を取っていました。
その間、心身の回復はもちろん、
自分の強み・やりたい事をじっくり考え、
書き出したメモを元に、何度も何度も
自分自身に問い続けていました
今、当時の休んでいた期間に話が及ぶと、思いかけず
周りからも打ち明けられました。
『実は・・私も、悩みに悩んだけど、
休んでいたことがあったんだ』と。
そのきっかけや道筋は、実に多岐にわたっています。
『夫婦の長年の夢だったから、2年かけて世界旅行に。
その時の経験を買われ、旅行会社や商社に就職』
『日本を飛び出したいと、船で世界中を回る仕事に』
『出産でキャリアを諦めた。でも育児中に好きだった
語学を学び直し、今は字幕翻訳の仕事をしている』
『大きなプロジェクトで疲れて、とりあえず退職。
でも旅先で巡り合った人から刺激を受け、
外国人支援に興味が湧き、NPOで働いている』
『次を決めずに辞めたけど、習った趣味にハマり、
その道に進もうと思っている』
どの理由にも、正解も、間違いも、ありません。
ただ一つだけ、彼らが口を揃えていうことがあります。
『復帰できるか、とか経済的に最初は不安だった。
でも、なんとかなるんだなと。
もしかしたら、あのまま辞めなくても、
ただ毎日を過ごしていたかもしれない。
でも、道は一つだけじゃない。
そんな当たり前のことに気づけた。
立ち止まっても人生はそこで終わりじゃない』。
キャリアブレイク中の過ごし方のヒント
ところで・・
キャリアブレイク=離職期間に、何をすれば良いの?
そう思うこともありますよね。
離職期間の過ごし方は、人それぞれで、
途中で目的が変わることも。
またブレイク中にやりたかった事を思い出すことも。
とは言え、離職期間中は、
心身のストレスや不安はついて回るもの。
「職についていない時間=無価値な時間」と
考えて焦る気持ちも。
でも!
次を決めずに『休むこと』が、
『無価値な時間』ではないと言えます。
キャリアブレイクは、
「何か成果を出す時間」である必要はないのです。
ただ、何よりもまずは、自分の心身のケアを
最優先にするのがポイントです。
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過ごし方の一例:
▼ 心と身体を整える▼
・散歩、ストレッチ
・カフェなどで本を読む
・睡眠リズムを整える
・あえて“何もしない=ノーアクションデー”をつくる
▼学びやアップデート▼
・やりたいことメモを書き出してみる
・気になるオンライン講座を一つだけ試してみる
・語学や資格学習などをゆるくスタート
▼ 自分と向き合う時間▼
・日々の感情を書き留めてみる
・自分が大事にしたい価値観を整理する
・他人との比較を意識的に手放す
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筆者はと言えば、休んだ当初は、
何もしない時間を作っていました。
ただ、ともすると、外部や社会から
離脱している感覚に襲われたこともあります。
だからこそ、一番意識したのは、
『心身のリズムを整える』ことでした。
その中で、頻繁に試したのは、『散歩』と『瞑想』。
そして・・『オンラインのダンスレッスン』。
気分や予定に合わせ、気楽に参加できたことは、
気分転換になりました。
そしてある時は、ただひたすら歩いたり、
途中でカフェで読書してみたり。
ノートに想いをただ書き留めてみたり、
ふと目にしたイベントに参加してみたり。
その中で・・多くの問いかけを続けるうちに、
なんとなく、やりたいこと・トライしてみたいことが
明確になっていきました。
ブレイク期間中の“成果”を、あえて挙げるとすれば、
『自分ととことん向き合えたこと』
である、と言えます。
もちろん周りが慌ただしく見える現代で、
あえて休むことには、勇気がいります。
でも他人ではなく、
自分だけのキャリア=軌道を整えるため、
まずは意識して「あえて休む」こと。
いずれ、何かしたいという気持ちが
少しづつ生まれてくるもかもしれない。
そのために、いや、だからこそ、
まずは『休む』こと。
焦らず、自分のペースで。
キャリアブレイクは、内側を整えるプロセス。
未来の自分にバトンを渡す準備期間なのです。
キャリアブレイクの伝え方
ブレイク期間について説明する時・・・
誰しもが思う不安の数々。
『単なるブランクとして評価に値しないのでは』。
『ネガティブにしか思われないのでは』。
『スキルや能力が足りないだけと思われないか』。
それは、伝え方をちょっと工夫するだけで、
ぐっと印象が変わります。
大切なのは、
「ブレイクを取った理由」ではなく、
「そこで得たもの・気づいたこと」を伝えること。
あなた自身が体験してきたことは、
あなただけの「ライフキャリア」。
伝える時には、ポイントを絞って短く、
自信を持って伝えることが重要です。
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▼前向きな言い回しの例▼
・「ブレイク期間中、自分のスキルと
方向性を整えるための時間として活用した」
・「学び直しと心身の回復を行い、
次のキャリアに向けた準備をした」
・「ブレイク中に得た○○という視点を、
次の仕事で○○のように活かしたい」
▼伝え方のコツ▼
・ポジティブに言い切る・決してためらわない。
・得た学び・気づき・価値観などを明確に。
・次に向けた意欲を添える。
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まとめ
キャリアブレイクは、単なる“空白”ではなく、
人生をアップデートするための、大切な“余白時間”。
“取っても、取らなくてもいい”
“短くても、長くてもいい”
そのどれにも正解はなく、どの道を選んでも、
あなたの人生の大切な一部となる。
もし今、分岐点にいるなら、
それは未来の選択肢を広げるチャンスかもしれない。
大事なのは、あなたがどう生きたいか。
働き方が多様化する今だからこそ、
「立ち止まってみる」という選択肢も一つ。
自然に選べる社会へ。
そして次の一歩を踏み出したい人の背中を、
少しでも後押しできたらと。
少しでも役に立てるような情報を
これからも伝えていきたいと思います。
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